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2022/04/15 セミナー

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ジェルコ全国実践研究会「リフォームの質を考える日」が開催されました

ジェルコ全国実践研究会「リフォームの質を考える日」が開催されました

全国実践研究会第1部

令和4年3月29日にオンラインにて開催された全国実践研究会では、100名を超えるジェルコ会員が参加した。

研究会は第一部と第二部に分かれて開催され、第一部ではリフォーム事例の紹介が行われた。

第一部の冒頭では、盛会長が「ジェルコビジョン2030を掲げてから丸3年が経ちましたが、リフォームの質に対する捉え方は三者三様で大きく異なります。そこで本日はリフォームの質について徹底討論したいと思います」と挨拶し、ジェルコビジョン2030の内容や推進ロードマップについて説明。続いて望月副会長より実践研修会の趣旨説明が行われ、「品質」は「視点」によって変化するプロセスを解説し、様々な視点に触れることで多様化するニーズに対応していくことができると述べた。

 

事例紹介のトップは、㈱土屋ホームトピアの三橋氏による「提案の品質」と題した事例発表で、2021年のリフォームコンテストで入賞した2物件を紹介。1件目の事例では、生活者の想いを盛り込みつつ、限られた予算におけるリフォーム箇所の取捨選択について、2件目の事例では家族構成と生活動線、地域性などに配慮した間取りを紹介した。

事例紹介の二番目は、㈱キタセツの北川氏による「経営の質」と題した事例発表が行われ、リフォーム経営の質を向上させる重要なポイントとして、人の温もりを感じるDX(デジタルトランスフォーメーション)経営を行い、経営者が「愛」を持って、人材育成や職場環境の整備を行うことを挙げた。またその一方で、理念を持って時流に乗り、デジタルをフル活用しつつアナログと融合させる「血の通った」経営についても解説した。

 

全国実践研究会第2部

第二部では「ジェルコが考えるリフォームの質とは?」と題したパネルディスカッションが開催された。パネルディスカッションでは、ファシリテーターにリフォームビジネス研究所の時田氏、パネリストに北海道支部から㈱アルティザン建築工房の新谷氏と㈱土屋ホームトピアの三橋氏、関東甲信越支部から㈱キタセツの北川氏と業務支援の石原氏、中国四国支部から㈱やまもと住研の多尾田氏らを迎え、リフォームの質についての意見交換を行った。

パネルディスカッションの開催に先駆けて、第一部で事例紹介を行った三橋氏と北川氏以外のパネリストがプロフィール紹介とプレゼンテーションを行った。㈱アルティザン建築工房の新谷氏は、空き家問題とストック住宅のカーボンニュートラル推進、HEAT20に関連した高断熱リフォームの重要性、同社「サスティナくん」の開発経緯、補助事業の申請などについて紹介した。㈱やまもと住研の多尾田氏は、地元である広島県呉市を紹介したほか、新築から不動産の賃貸と売買、リノベーションやリフォームまでをワンストップで提供する自社のサービスを紹介した。業務支援の石原氏は、自身の経歴を紹介するとともに、これまでの事業支援の実績から、売上向上のポイントとして、事業内容の整理、目標・優先順位の設定、過去の反省・振り返りの3点が重要になってくると紹介した。

パネルディスカッションでは、まず最初に「我社の求める・考えるリフォームの質」について意見が交わされた。この中で新谷氏は「最初はリフォームの質は技術力であると思っていましたが、現在では顧客満足度を高め、より良いソリューションを提供することに本質があると考えています」と述べた。三橋氏は「リフォームを通して、お客様はもちろん、提案や施工を通じて社員まで幸せになれるよう、日々研鑽していく姿勢そのものが自社のリフォームの質であると考えています」と述べた。多尾田氏は「リフォームの質は、顧客の大切な資産を守ることに集約されていると思います。そのために必要となってくるのが、現場との信頼関係の構築ですが、その信頼を勝ち得ることこそがリフォームの質の本質だと考えています」と述べた。石原氏は「リフォームの質は、スタッフの質・サービスの質・イメージの質・買いやすさの質・経営の質の5つに分類することができ、それらを多角的に高めることで品質向上を図ることができると考えています」と述べた。

続いて、従業員の質を高めていくための施策について具体的な事例紹介を行った。㈱土屋ホームトピアは大手ならではの研修制度や定着率などについて紹介した。㈱アルティザン建築工房では社長自らが企画したセミナーの実施や、感性を磨くための見学ツアーなどの事例を紹介した。㈱キタセツでは、マネジメントツールの効果的な使用方法と、画一的な情報の共有事例を紹介した。業務支援の石原氏は、クレーム対応などを例に挙げ、適材適所の人員配置と、情報共有の重要性について説明した。㈱やまもと住研も同様に、クレーム対応時の判断基準や原因などを若い社員も含めた全社で共有している事例を紹介した。

パネルディスカッションの中盤では粗利率が話題に上った。北川氏は理想的な粗利率や粗利の可視化について、新谷氏は物件の規模に応じた積算のやり方や粗利のチェック、仕入れ時の発注内容を標準化することの重要性を説明。三橋氏は積算業務における経験の重要性や追加工事が発生した場合の対応などについて事例を紹介した。多尾田氏は直近の商談で値引きを回避した経験を紹介し、施工費と品質はトレードオフの関係にあり、品質を犠牲にしてまで値引きを希望するお客様は少ないことを紹介。粗利確保と施工品質の確保が密接な関係にあることを解説した。石原氏は、上司と部下で粗利に対する意識に差があることを指摘したほか、売上に関しても日々の変化を適切にチェックすることの重要性を訴えたほか、粗利の高い顧客ほど満足度が高いという傾向についても紹介した。また、自社が提案するプランの良さや強みを顧客にどう伝えるかについて、新谷氏はリフォームの質を数値化・標準化することで分かりやすくなると解説した。

パネルディスカッションの最後では、視聴している会員から質問事項がパネリストに投げかけられ、悪質訪問販売業者に関する消費者からの相談や、台風や地震などの災害復旧における業務体制、職人不足に対するリフォーム業界としての対策、住宅の試算価値を高めるための質、リフォーム業の地域性と相見積などの質問について、パネリスト達は各々の私見を述べた。

最後に第二部の締めとして、ファシリテーターの時田氏がパネリスト達の考える「リフォームの質」に関するキーワードを伺った。新谷氏は「“丹精込めて”を心がける」、三橋氏は「ライフデザインの一画として何を提供できるか」、北川氏は「いかにお客様に寄り添うか」、多尾田氏は「人」、石原氏は「お客様に対しては家族の幸せ、業者に対しては“お客様に聞け”」と、各々のキーワードを発表し、研修会は盛況のうちに幕を閉じた。