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2020/12/08 営業 経営 提案

コロナに負けるな‼ 頑張るジェルコ会員① 札幌 株式会社キッチンワークス

経産大臣賞受賞のビジネスモデルが力を発揮
機器交換と感染防止アクリル板でしのぐ
施工力やモノづくりの姿勢がHP閲覧・受注数急増へ

昨年ジェルコリフォーコンテストのビジネスモデル部門で経産大臣賞を受賞した札幌の㈱キッチンワークス(荒井俊吉社長)。昨年11月末に授賞式があり、年が明けて「さあこれから」という時にコロナに見舞われた。自社工場製作のオーダー家具で顧客ニーズに応えるビジネスモデルが大ヒット、過去3年で売上高を倍増させ、昨年度の売上は6億8000万円となった。

北海道ではコロナに対して全国に先駆けていち早く緊急事態の宣言が行われたが、荒井社長は「それまでは非常に好調だったが、ガツンとやられた。最初に一番困ったのは、IHとかシャワートイレなどが入らなくなったので受注残の工事を進めるのが大変だった」と振り返る。その次にやってきたのが、コロナ対策の規制・自粛で札幌でも消費者マインドが大きく冷え込んだことだ。「うちは6月決算なので期末の4、5、6月が20%位売上が落ち込んだ」と話す。

キッチンワークスでは、コロナ対策として先ず荒井社長が取組んだのが器具等の交換工事だった。同社では以前から交換需要はけっこうあったので、ホームページで食洗器、レンジフード、給湯機などの交換を積極的に訴えた。それためか、コロナ前毎月百数十件あった現場数は、コロナ下でも落ちなかったという。

キッチンワークスは社員数23人で、そのうち現場関係が11人(職人が8人、工場が3人)だ。リフォームショップで施工スタッフが半分居て、それも社員として抱えているところは珍しい。同社は荒井社長が一人で始めた仕事で、創業18年目。営業だけでなく設計や施工など社員を一人一人増やしてきた会社だ。「施工スタッフが社員なので、遊ばせるとそのままコストに跳ね返って来る。それで交換需要に取り組んだ」と荒井社長は説明する。自社施工の力をこの時とばかりに活かした。営業だけでなく職人も遊ばせないというのがコロナに直面した経営の至上命題だったというのである。

さらに、コロナ対策として感染防止対策用の透明アクリル板のオーダー加工も始めた。荒井社長が自社の機械設備と在庫している材料から気づいて製品化した。3月初めにホームページに掲載すると大反響となった。ピーク時には1日20件程の注文があり、グーグルの検索でも1位、2位を取ったという。注文のほとんどは病院関係。一時はアクリル板が足りなくなり札幌中のホームセンターを回って集めたこともあった。「今は大分落ち着きましたが、まだ1日1件位の注文はあります。こういう危機の時に何が大事かというと、自分たちは今何が出来るかというのを真剣に考えれば、自ずと道は開けてくるのかなあと思いましたね。うちには加工できる社員がいて機械があったということです」と、荒井社長は、改めて自社の強みが何かを考えさせられ行動したと語る。

コロナでの落ち込みを機器取替とアクリル板で何とかカバーしてきた同社だったが、9月以降は去年よりも忙しくなってきている。その理由は「コロナになってからホームページのアクセス数が物凄く増えている」からだ。チラシが入らなくなったので、お客さんはネットで探すようになった。同社でもアクセス数は前年比で2~3割増で問い合わせ数も増えている。「今は仕事内容も通常モードのリフォームに戻ってきている。逆に忙しすぎてパンクしている感じもある」と荒井社長は、これまでやってきたホームページによる営業戦略などの手法だが、ウイズコロナ、アフターコロナの時代になって、大きなパワーを発揮するようになっていると自信を深めている。

同社では、以前からホームページ以外は、チラシ、イベント、DМ、情報誌など一切してこなかったというのだ。ホームページによる情報提供、PR、集客がほとんど。内容は、会社紹介、施工例、お客様の声、スタッフ紹介など、ごく一般的な内容だ。ただその掲載量が2000頁以上あるというのだ。「お客さんは隈なく見ているので、問合せした時点で、相見積もりなしでうちでやりたいという人が結構来ます。お客さんがそういう安心感を持つ決め手となっているのは、たぶん掲載されているお客さんの声だと思います」と荒井社長はホームページの効果を語る。工事終了後、同社が独自に行っている5年保証の申し込み時に書いてもらう「お客様の声」を300件以上、お客様の手書きのまま掲載している。同社の5年保証は30万円以上の工事で行っているもので、もう10年以上続けている。ここでも自社職人のメリットが生かされていて、同社の安心感の一つでもあるようだ。

もう一つコロナで大きく変わったのが顧客との契約までのプロセスだ。ホームページ中心の集客までは以前と同じだが、そこから先のプラン打合せ、現調、見積もり、契約までの工程が全てメール等で済むようになった。これまでは数回対面での打ち合わせになっていたが、二、三百万までの工事であれば、対面は現調と契約の時の一日で済ませる事が出来るようになったという。「お互いに接触を減らそうということで、メールや写真のやり取りをお客様も結構できるようになった」ことがその大きな理由だ。それがまた同社にとって経営のプラスになるという。荒井社長は「移動時間の無駄とか儀礼的な挨拶とかをそぎ落として仕事の効率を上げることが出来るのが、今のうちのやり方です」と、コロナが生産性向上のきっかけになったと語る。

今後のアフターコロナ時代のリフォーム市場について荒井社長は次のように述べている。 「ステイホームの時だから新たなニーズがあるという話もありますが、リフォームでは意外に淡々と従来通りの需要が続いていると思います。我々としては、お客さんのニーズをちゃんと汲み取ってやるというだけです。その為には利益を上げて再投資をして社員を大事にして、当たり前にコツコツとやって行くだけです」

同社の社員は営業をはじめ施工スタッフもほとんど辞めていないので年々スキル・経験値が上がり、トラブルも減少していくので、生産性向上にプラスして利益貢献度も上がってきているという好循環を生んでいるようだ。

 

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