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2024/03/01 会員インタビュー

近畿支部

近畿支部会員インタビューNo.7 ㈱植木工務店 植木勇一社長

近畿支部会員インタビューNo.7 ㈱植木工務店 植木勇一社長

今回のインタビューは、ジェルコ総務委員会副委員長を務める兵庫県尼崎市に店舗を構える植木工務店様です。

いつもはインタビューする側ですが、今回はインタビューを受ける側に回っていただき色々伺ってみたいと思います。

 

植木社長は大工職人を経て㈱植木工務店を設立。数年前まで専ら大手の下請けをしていましたが、現在では元請けに絞って、地元中心の地域密着営業を行っています。優秀な女性営業さん達をはじめとするスタッフ陣と共に、「初心・感謝・みんなの笑顔」という経理理念のもと、日々笑顔が絶えない経営を目指して取り組んでおられます。

 

今日はそんな植木社長の素顔に迫りたいと思います!

【プライベートについて】

趣味や休日の過ごし方を教えて下さい。

[植木] 寝ているか、料理をしています(笑)。YouTubeで料理の動画を見ながら手を動かしていますね。

 

旅行に行くならどこへ行って、何をしますか。

[植木] 特にどこっていうのは無いのですが、外国の建築物を見に行きたいですね。海外のトレンドをこちらのリフォームに活かせないかな?と考えています。

 

あなたの宝物は何ですか?

[植木] 僕の宝物は物とか人じゃないんです。「豊かな心」を宝物にしたいと思ってます(笑)。幸せってなんだろう?って考えたとき、お金持ちでも幸せでない人もいるし、逆に、お金はないけど幸せを感じている人もいる。幸せを感じられるってどういう状況なのかな?って考えたとき、「心が豊かになってたら幸せやん」って思ったんです。それに僕、どんな状況でも幸せを見つけるように心がけています(笑)。

 

最近の1番高い買い物はなんですか?

[植木] 自転車の前と後につけた大きなカゴと、自転車の鍵です。ただ肝心の自転車がボロボロだったんで、「新しい自転車買った方がイイんちゃいます?」って自転車屋さんに言われたんです(笑)。でも「新しい自転車買って、大きなカゴ付けたら総額が高くなるやん」って言って付けてもらいました。食材の買い出しでカゴに入りきらずに担いで帰っていたのが、カゴに沢山積み込んで帰れるようになったので凄く快適です。でも買い物の量が増えたので、結局、高い買い物になったかもしれないです(笑)。

 

ストレスがたまった時や疲れた時はどうしますか?

[植木] YouTubeで宇宙の動画を見ていますね。宇宙の視点から今の自分を俯瞰すると、自分なんてアリンコみたいだし、今抱えているストレスや悩みなんかがちっぽけに思えて来るんですよ。大抵の悩みが大したことじゃないことに気づかされます(笑)。

 

料理や宇宙のほかにお気に入りのYoutubeチャンネルはありますか?

[植木] 原田泳幸さんなど、経営者の動画を見たりしますね。他にも、ねこの動画や「コヤッキースタジオ」、「ナオキマンショー」などの都市伝説系とかも見たりしますよ(笑)。

 

今一番やりたいことは何ですか?

[植木] 魚釣りがしたいですね。中学生までは渓流釣りをしていたんですが、今は全くしてないので、落ち着いたら渓流でイワナやヤマメを釣って食べたりしたいです。海釣りもいいですね。もちろん釣った魚は自分で料理します。手刀包丁を買ったので、魚をさばいてカレイの煮つけやヒラメのお造りを作って食べたいですね。

 

【過去について】

どんな子どもでしたか?
[植木] いたずらや冒険が好きな子どもでした。「未来少年コナン」や「トムソーヤの冒険」が好きでよく観ていたのですが、あんな感じの怖いもの知らずの子どもでしたね。尼崎の自宅から西宮の甲山(かぶとやま)まで、カブトムシを探しに歩いて行ったりしたこともあります。結局カブトムシは1匹もいませんでしたが(笑)。ほっといたらどこでも飛んで行ってしまうような子供でしたね。

 

子どもの時の夢は何ですか?

[植木] 小1の時は“なりたい職業第1位”のパイロットになりたいと思っていました。いっぽうで、父が三菱電機でコンピュータ制御盤を作っていたということもあり、電気エンジニアになりたいとも思っていました。

結局どうなったかというと、高校生のときの作文に「働きたくないから専門学校に行きたい」と書いてあるのを親に見られて「あほか、働け!」と。それで就職しました(笑)。

 

人生の分岐点はどこにあったと思われますか?

[植木] 大工になる前に働いていた工場を辞めた時です。工場では毎日ブラジャーのホックを作ってました(笑)。でももっと直接、人に喜んでもらえる仕事がしたいと思ったんです。それで何がいいかなって考えました。

身体を動かすことが得意で、料理やものづくりが好きだったので、料理人か大工に絞りました。僕は海老アレルギーなんですが、お客様にお出しするのに味見ができないのは致命的だと思って、結局、大工を選択しました。あと僕、人に命令されたり怒られたりするのが大嫌いなんです(笑)。だから一人親方の大工になろうと思ったんですが、大工になっても工務店の社長に怒られる。それなら社長になるしかないやんって思って社長になったんです。でも結局、社長になってもお客様に怒られて頭を下げてます(笑)。職人さんや社員さんにも頭を下げてるし、何なら結局、社長が一番頭下げてるんちゃうの?って思ったりしてます(笑)。

 

昔の自分にメッセージを伝えるとすれば何と言いますか?

[植木] どの時代の自分にも「そのままでエエで」って言います。だって、色々アドバイスしたところで、当時の自分は絶対に自分の意見を変えないだろうから(笑)。学びにもタイミングがありますし、今の自分も失敗してきて今があるので、その経験も大切。だからあえて何も言わないでしょうね。

 

【会社のこと】

 

他社には無いと思われる取り組みや、会社の強みを教えてください。

[植木] 最近スタッフも増えてきました。未経験の建築事務を募集したら設計士さんが来てくれたり、「現場の知識はないんですが‥」と来られた方が実は大手工務店勤務の超スキル営業だったりなど、本当に偶然なのですが、優秀なメンバーが加わってくれました。

「やっぱり組織って人やなあ」って、しみじみ実感しています。うちのような小規模な企業は、一人がなんでもこなせないといけない。だから少数精鋭で高いチームワークで取り組んでいくようにしています。そのあたりはうちの強みであると思いますね。

 

差し支えなければ会社の弱みを教えてください。

[植木] 先程少数精鋭と言いましたが、少数なのはそのまま弱みにもなると思います。一人への負荷がかかり過ぎるとキャパオーバーとなってしまいます。ですからITを活用するなどして、できるだけ効率化を図れるようにしています。

 

今までの経営の中で、一番ピンチだったことは何ですか

[植木] しょっちゅうピンチですし、今もピンチですよ(笑)。最大のピンチといえば、自社を完全元請けに切り替えようとした時です。それまでは神戸や三田、豊中など遠い地域まで時間をかけて行ってましたし、そのお客様は自社のお客様ですらないんです。

一念発起して、イチから自分たちのお客様獲得のために動こうと思った矢先にコロナが流行ったんです。もう本当にどうしようかなって‥。元請けになるためのヒントを求めてTOTO店会に入ったのもその頃でした。

悪いことは重なるもので、それまでいてくれたメンバーが徐々に辞めてしまったこともピンチを増幅させました。

 

【社長として】

 

仕事に関して10年前のことを教えてください

[植木] ㈱植木工務店の創業時ですね。自分で大工職人もしていたし、エネルギッシュでアグレッシブでしたね。営業もしながら職人もして、ほんとに勢いだけって感じでした(笑)。自分のほかにも大工職人さんを抱えていたので、仕事を取ってくる必要がありました。

当時のメンバーは全員が入れ替わりました。がむしゃらに走り続けて、振り返ると誰もいない‥。そんな感じでした(笑)。

今振り返ると、まったく経営者ではなかったですね。目の前のことをがむしゃらにこなしているだけでしたから。

 

仕事に関して新人時代のことを教えてください

[植木] 大工になった当初は、毎日刃物を研いでましたね。休憩も取らずに、親方の車を洗うこともありました。いわゆる下積みなんですが、自分としてはそんな風に感じることなく毎日取り組んでいました。当初は親方も口をきいてくれなかったので、自分にできることを見つけてやっていた、という感じでした。

社長としての強みを教えて下さい。

[植木] (社長が困っているので隣にいる石橋が答えます!)社長はポジティブな方だと思います。“人たらし”と言われていることもあります(笑)。休憩ブースからはいつも職人さんや社員の笑い声が聞こえてきますし、社長といるとみんな笑ってる印象ですね。どんなエピソードも笑いに変える天才だと思います(笑)。

 

社長の弱点を教えて下さい。

[植木] 情に弱いところでしょうか。冷徹になり切れないところがあります。

 

仕事をする中で一番やりがいを感じるのはどんな時ですか?

[植木] やっぱりお客様に喜んでもらえたときですね。あと、スタッフの笑顔を見られたときです。僕にとってはスタッフが何より大切なんです。

僕はいつも大工道具のカンナに例えるんですが、カンナは刃先鋭くピンピンに光ってないと、綺麗に木を削れない。それと同じでスタッフがしんどくて疲弊しているとお客様を喜ばせることはできない。だからスタッフが笑顔でいられるように努めていますし、それがお客様のためになると思っています。スタッフみんなの笑顔を見ると「明日も元気にやれるなー」って思うんです。

【自分・人生について】

好きな有名人を教えてください

[植木] いっぱいいるんですが‥松下幸之助さんとか、鉄鋼王のアンドリュー・カーネギーとか。あと、中国の孫武などです。

孫武は春秋戦国時代の武将・軍事思想家で、「孫氏の兵法」の中に「彼を知り己を知れば百戦殆からず」という有名な言葉を残しています。「風林火山」といった、のちに武田信玄が軍旗に書いた有名な言葉も発祥はこの「孫氏の兵法」です。中でも「戦わずして勝つ」と「やるときは一撃でやれ」とも書かれているのですが、初めて読んだときは凄いなと思いました。戦わなければこちらの損害も少なくて済むし、相手から必要以上の恨みを買うことはないですし。やるときも一撃であれば損害は同じです。今のビジネスにもつながる考え方だし、凄く分かりやすくていいなぁーって思います。

 

好きな食べ物は何ですか?

[植木] 食べ物はトマト、飲み物はジョージアのロング缶カフェオレ(一番甘いやつ)です(笑)。

 

好きな本は何ですか、またその理由は

[植木] 先ほどの孫氏の兵法以外でいえば、アドラー心理学です。アドラー心理学は常に「相手」に矢印を向けていて、例えば「なぜこの人は怒っているのだろう」と相手の感情について分析する。その考え方がとても参考になっています。なかなか意識して実践するのは難しいんですけどね(笑)。

 

好きな言葉や座右の銘はありますか?

[植木] 「尊尚親愛(そんしょうしんあい)」です。

決めつけられたり、否定されるのって誰でも嫌いなんですよ。もちろん自分自身もそういうことをしてきたし、虚勢を張って生きてきたと思うんですが、この年になって、周りの人達と尊敬し、敬愛し合っていけるような関係でいたいと素直に思えるようになりましたね。

 

行ってみたい場所はありますか?

[植木] 伊勢神宮に行きたいです。以前に行ったことはありますが、今度はもっといろんな場所を見て、ご祈祷もしていただきたいと思います。

 

尊敬する人は誰ですか? またその理由は?

[植木] 友人に「こんな人になりたい」って思う人がいるんです。共感力と人間力が凄くて、人に寄り添い、相手を絶対に否定しない‥。僕が女性だったら惚れてしまうと思います(笑)。

 

何をしている時が一番幸せですか?

[植木] ふとした瞬間に幸せを感じたりします。「日常が幸せやなあ」って感じる時があるんです。トシですかね(笑)。振り返ったら誰もおらんかった、という経験をしているから余計にそうなのかな?

「みんないるなー、笑ってるなー」って思ったら、「ありがたいなー」ってジーンと来ますね。

 

最近感動したことや涙した出来事は?

[植木] 僕は感動するとすぐに涙がでます。テレビやYouTubeを見ていて、頑張っている人なんかを見ると感動して勝手に涙が出てきます(笑)。

 

タイムトラベルできるとしたら、過去と未来のどちらに行って、何をしますか

[植木] 今は、どっちも行きたくないなって思いますね。過去は変えられないし、未来を見てしまっても楽しくないかなって。自分は冒険好きなのに、既に分かっている未来を生きていくのって面白いのかな?って。だからどっちの選択もしないと思います。

 

【未来について】

10年後、どんな風になっていたいですか?

[植木] 会社でいうと年商10億行きたいです!(笑)。あと多店舗展開していたいですね。

 

これから挑戦したいことは何ですか?

[植木] 強い組織にしたいと思っています。人が対応しなければならない部分以外は仕組み化して、属人化しない、チームワークのとれた組織を作りたいと思っています。社会貢献もしていきたいですね。

 

社員にどんな社長だと思われたいですか?

[植木] “話しやすい社長”でいたいですね。以前はまくら言葉もなく、ワンツーで言葉を返して失敗してきた自覚があって‥。

みんなが辞めて行った時に考えたんです。自分に何が足りなかったんだ?って。そのころアドラー心理学を読んで、伝え方を変えるようにしました。相手のことを考えるようになりましたね。

 

最後の質問です。社長の未来は何色ですか?

[植木] 「神々しいほどの真っ白」です。自分で何色でも絵が描ける自由度があるので。

自分の人生を切り開いて色をつけてきたので、過去に囚われることなく、常に真っ白な紙に自由な絵を描いていきたいと思っています。

 

 

【インタビューを終えて】

このインタビューは、植木社長と同じ工務店経営者であるジェルコメンバーが担当しています。それだけに植木さんの「経営者としての目覚め」に大いに共感しました。

 

『みんないるなー、笑ってるなー』って思ったら、『ありがたいなー』ってジーンと来ます

 

スタッフがしんどくて疲弊しているとお客様を喜ばせることはできない。だからスタッフが笑顔でいられるように努めていますし、それがお客様のためになる

 

この年になって、周りの人達と尊敬し、敬愛し合っていけるような関係でいたいと素直に思えるようになりましたね

 

どれもが私の心にズバンッと音を立てて飛び込んできた言葉でした。私自身、スタッフはそこに居て当たり前、言われたことをするのが仕事で、彼らのやりがいなど考えたこともありませんでした。そのくせ、「俺ばっかりしんどい思いをしてる」とか、「なんで(彼は)ああなんやろ? 言わんでももっとこうしてくれたらええのに」なんて心の中で愚痴っている駄目駄目な経営者でした。

 

だからこそ、植木さんの言葉が突き刺さります。それは植木さんが初めから優れた経営者ではなかったからだと思います。言葉のひとつひとつの裏側に、失敗したつらい経験があるからだと思います。

 

今ではスタッフから“人たらし”と呼ばれる植木社長(笑)。インタビュアーである私も、植木さんの笑顔と人柄が大好きになってしまいました。